IT分野で業務を拡大する場合の注意点
「業務委託は請負作業だから将来性が無い」という批判は、ITの分野では必ずしも当てはまりません。IT関連の業務は様々なものがあり、それに応じて必要なスキルや応用力は千差万別あるため、替えがきかない分野については企業からヘッドハンティングされたり、多額の報酬を得ることも可能だからです。しかし、将来性を見据えて業務をこなしていく場合、社会制度的にいくつかのハードルがあることを認識しておく必要があります。IT分野の業務委託で将来性を拡大するということは、業務内容を拡大させていくということです。単純なプログラミング作業だけではなく、コンサルティングや設計・営業の分野にまで業務が拡大していくと、それによって生じる対価とそこにかかる所得税の扱いが問題となってきます。コンサルティングや営業となると、もはや他社との掛け持ちはできず、相応の時間的拘束を受けます。これらの実質基準によって「請負」ではなく「雇用」相当と判断され、業務の対価には源泉徴収の必要性が生じてくるのです。また所得税法204条において、デザインに対する報酬も源泉徴収であることが定められているため、プログラムやwebの設計分野へ業務を拡大させていった場合も所得税の納付方法が変わってきます。業務を請け負う側としては源泉徴収による所得税納付の方が簡便ですが、その分委託元には負担をかけることになるため、IT分野での業務委託で将来的な展望を見据えている人は税制に対する知識の他に、委託元に理解を求めるような折衝能力も備えておくと良いでしょう。